光と音が舞う工場

チェンマイの工房が閉鎖中ということもあり今後のものづくりを色々思考している中、前から気になっていた藍染の工場にお邪魔させていただきました。葉山から北へ車で2時間弱、埼玉県羽生市。明治5年(1872年)創業の小島染織工業、藍染の小島屋は武州正藍染と織りの老舗です。

戊辰戦争終戦から3年、そして国内最後の内戦が始まる前の端境期での創業。日本の近代史と共に人々に寄り添いながら歩まれた場所。働く職人たちも手馴れた作業で糸、そして織物に自分たちの技術を刻んでゆきます。そこには重みと優しさがあり、伝え続けたい技、そして心構えと凛とした佇まいがありました。

時の濃淡が刻まれた暖簾、柔らかい表情の大谷石の門構え。入口横の蔵はショップになっています。

(* 製造工程は英語サイトの動画がわかりやすかったです)

いくつもの枷を染められる大きなステンレスの藍瓶。黄色がかった緑っぽい膜が表面に浮いているのは藍が生きているから

何度も浸しては絞り、空気を含ませる工程は事前の準備が不可欠。フックの位置をも考えて糸の束を整えておく

重ねるごとに濃さが増す日本の青
藍白(あいじろ)・水縹(みはなだ)・瓶覗(かめのぞき)・水浅葱(みずあさぎ)・浅葱(あさぎ)・薄縹(うすはなだ)・薄藍(うすあい)・花浅葱(はなあさぎ)・浅縹(あさはなだ)・納戸(なんど)・縹(はなだ)・鐵(てつ)・熨斗目(のしめ)・藍(あい)・藍錆(あいさび)・紺藍(こんあい)・藍鐵(あいてつ)・搗(かち)・紫紺(しこん)・留紺(とめこん)・搗返(かちがえし)・濃紺(のうこん) 

リズミカルに飛ぶシャトルの音が心地よく響く木造の建物。
それぞれピッチが違う音が重なっては離れてゆき 強弱があるようで無いような不思議な空間でした。

約150年前から技術を紡ぎ、受け継いできた伝統が息づくノコギリ屋根の工場。射し込む光がやさしく工場内を照らし、一定のリズムを刻む機械は時をも刻んでいるような、力強く心地よい音が響いていました。藍独特の匂い、音、職人技。すべての調和がなんとも神々しく… 撮った写真にも美しい光の輪が輝いている素敵な場所でした。

*武州とは武蔵国の別称でもあり、今の埼玉県・東京都・神奈川の一部、六浦藩(武州金沢藩、武蔵金沢藩とも)までを含む一体でした。六浦や追浜と、葉山町に事務所がある私たちにとって身近な名称が出てきて、勝手に増す親近感!

ガジュマルの上で踊る白い象に守られていると言われたチェンマイの工房。
バーンロムサイは長年カレン族の村に藍染をお願いしてきましたが、小島屋さんの煙突は力強い龍神様に守られている… そんなイメージが頭から離れないのです。

(バーンロムサイの写真日記から:カレン族の藍染カレンの台所

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