ミャンマー、インレー湖・蓮の布

インレー湖の蓮の茎で作った生地

蓮の茎から取った繊維をつなぎ合わせて糸にし、それを織って生地にする…そんな気が遠くなるような伝統を継承しているインレー湖の女性たち。

日本にも本州全域で作られていた藤布や葛の蔓から取った繊維で作る葛布がありますが、蓮の生地に出会ったのは初めてミャンマーに行った時のインレー湖にて。

ヤンゴンから北へ約580km。当時浮島で湖上生活をしているのは地球上でチチカカ湖とインレー湖だけ、と聞きました。買い物、学校、食堂、住まい、畑も全て水の上。お隣さんと喧嘩したら長い棒を使って自分の浮島ごと漕ぎさればいいのさ!とガイドのお兄さん。ですが、近年水深が浅くなってしまい湖上生活に支障が出ている、とも聞きました。

それもすでに10年以上前。今はどうなっているのかな。

背の高い蓮がそこらここらに咲いています。
蓮の茎を束ね、水面に浮かせて保存。一定期間そのままにしておき、いざ加工!
元々はこのような茎です。
作業する場所はいたってシンプル。表の薄皮を取り、一定の長さで茎を切って引っ張りながら中の繊維を手作業で取り出して糸をにします。
日本人としては、なんとなく伽羅蕗を作る時の下準備の工程を思い出しつつ。少しづつ。少しづつ。粘り気のある細い繊維を引っ張り出しながら縒り合わせて糸状にします。

一節切って、糸にして…ミリ単位で進めてゆく果てしない作業を経て、美しい布が出来上がる工程のほんの一部を覗き見ただけですが、シンプルな布の中に繊細な手仕事と湖上で生き抜いて来た人々、そして自然の力強さを感じました。

喉を潤すのはミネラルウォーター。だけれど、水瓶は縄文時代のような…タイムスリップ感!

工房の中は心ときめく物でいっぱいでした!

*自然布にご興味があるようでしたら… 東京・自由が丘にある「岩立フォークテキスタイルミュージアム」で見つけた「日本の自然布 〜土から生まれ、土へと還るもの〜」という、小野健太氏が書かれた冊子が、日本全国の古代織りを写真と共に説明されていて大変興味深かったです!

room 101 miho

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